2025/04/03
「トイレに何度も行くのに、尿がほとんど出ていない」「排尿のときに痛がって鳴いている」そんな様子を見たことはありませんか?このような症状が見られる場合、尿路結石を引き起こしているサインかもしれません。尿路結石は犬や猫に多く見られる病気のひとつで、特にオスの犬では尿道が詰まりやすく、命に関わる緊急事態に発展することもあります。
しかし、尿路結石は早期に発見し、適切な治療や予防を行うことで管理が可能な病気です。
今回は犬や猫の尿路結石について、種類や症状、治療方法、そして予防のポイントなどを詳しく解説します。
■目次
1.犬や猫の尿路結石とは?〜種類と特徴〜
2.危険信号を見逃さないで!尿路結石の症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防が最大の治療〜食事管理と生活習慣〜
6.まとめ〜愛犬・愛猫を尿路結石から守るために〜
犬や猫の尿路結石とは?〜種類と特徴〜
尿路結石とは、腎臓や尿管、膀胱、尿道といった尿の通り道にできる固形物のことです。結石は尿の成分が結晶化して形成され、その大きさや成分により治療の難易度が異なります。
犬や猫に多く見られる尿路結石は主に「ストルバイト結石」と「シュウ酸カルシウム結石」の2種類があります。
<ストルバイト結石>
尿がアルカリ性に傾いたときにできやすく、マグネシウムやリン酸、アンモニウムなどのミネラルが結晶化して発生します。尿路感染を起こしている犬や、比較的若い猫に多く見られます。幸いなことに、このストルバイト結石は食事療法によって溶かすことができるケースが多く、管理しやすいタイプの結石です。
<シュウ酸カルシウム結石>
尿が酸性に傾くことで形成され、肥満傾向にある犬や猫、特に去勢後の子によく見られます。犬ではミニチュア・シュナウザーやシー・ズー、猫ではペルシャやヒマラヤンなどがリスクの高い品種とされています。このタイプの結石は食事療法では溶かせないため、治療が難しくなることが多いです。
また、水を飲む量が少なかったり、排尿を我慢してしまったりする生活も、膀胱内に長時間尿が溜まり、ミネラル濃度が上昇することで結石の形成を促進します。年齢や品種、性別、体重、生活環境なども関与しており、日常生活の中にリスク要因は潜んでいるのです。
危険信号を見逃さないで!尿路結石の症状
尿路結石の初期症状は見逃しやすいこともあります。以下の症状が見られたら、注意が必要です。
・頻繁にトイレに行くのに尿が出ていない
・尿が少量しか出ない
・排尿時に痛がるような素振りを見せる
・血尿が出る
特にオス犬の場合は尿道が細く長いため、結石が詰まりやすく、短時間で命に関わる重篤な状態に陥ることがあります。尿道が完全に閉塞すると、尿が体外に出せず、急性腎不全や尿毒症、最悪の場合は膀胱破裂を引き起こすこともあります。
そのため、日常的に犬や猫の排尿の様子をよく観察することが重要です。もし、「なんとなくいつもと様子が違う」と感じた場合には、迷わず動物病院を受診してください。早期発見が命を守る大きなカギとなります。
診断方法
尿路結石の診断には、以下のようないくつかの検査が行われます。
<尿検査>
腎臓の機能や結晶の有無・種類などを確認します。
自宅でできる犬や猫の採尿方法についてはこちらから
<レントゲン検査>
腎臓の大きさや結石の有無を確認します。
※猫の尿管結石はかなり小さいため、レントゲン検査では確認できないこともあります。
<超音波検査>
腎臓や尿管の状態、結石の有無、閉塞の有無などを確認します。
<血液検査>
腎臓の機能や全身状態を確認します。
犬や猫の血液検査についてはこちらから
これらの検査以外にも、場合によっては造影検査やCT検査など、さらに詳しい検査を行うこともあります。
治療方法
治療方法は結石の種類や位置、大きさによって異なります。ストルバイト結石であれば、専用の食事療法で溶かすことが可能な場合が多く、薬物療法と併用しながら管理します。ただし、結石が大きかったり症状が重かったりする場合は、外科的な摘出手術が必要になります。
一方で、シュウ酸カルシウム結石などの食事で溶かせないタイプの結石では、多くの場合手術が必要です。さらに対症療法として、細菌感染を起こしている場合は抗生物質を、炎症が起こっている場合には抗炎症薬を投与します。
オスの犬で尿道に詰まった場合には、緊急で尿道カテーテルを挿入し、膀胱へ押し戻したり、場合によっては開腹手術を行ったりします。
治療が終わった後も再発予防のために継続的な食事管理や定期的な検査が重要です。完治までの期間は個体差がありますが、数週間から数ヶ月の継続的な管理が求められることもあります。
予防が最大の治療〜食事管理と生活習慣〜
尿路結石の予防には、日常生活の中でのちょっとした工夫や習慣が大きな効果をもたらします。
<食事の管理>
最も重要なのは、食事の管理です。ミネラルバランスが乱れた食事は結石を作りやすくするため、基本は獣医師の指導のもとで療法食を選ぶことが望ましいです。
特別療法食は、尿のpHやミネラル濃度をコントロールするために成分が精密に設計されています。市販のフードとは異なり、科学的な裏付けがあり、個体に合わせた対応が可能です。
<水分摂取量を増やす>
また、水分をしっかりと摂取させることも大切です。水飲み場を複数設置したり、ウェットフードを取り入れたりすることで、自然と水分摂取量を増やすことができます。流水を好む性格であれば、自動給水器を使ってみるのも効果的です。
<規則正しい排尿の機会を与える>
排尿を我慢させない工夫も必要です。運動不足や肥満になると排尿の回数が減るため、犬は毎日の散歩やドッグランでの運動、猫はキャットタワーやおもちゃでの遊びを積極的に取り入れましょう。
また、繊細な性格な子であれば、トイレが汚れていると排尿を我慢してしまう子もいるため、常に清潔な環境を整えることも重要です。留守番の時間が長い場合はトイレを増設するなど工夫すると良いでしょう。
<定期健康診断を受ける>
定期的な健康診断を受けることが最善の予防につながります。どんなに注意をしていても、尿路結石を完全に防ぐことは難しいため、早期発見・早期治療の姿勢が大切です。
まとめ〜愛犬・愛猫を尿路結石から守るために〜
尿路結石は、初期であれば管理が可能な病気ですが、放置すると命に関わる重大な状態を招くことがあります。特にオス犬の場合、尿道閉塞による緊急処置が必要になるケースも少なくありません。
だからこそ、日常の食事管理、水分摂取の工夫、定期的な健康診断がとても重要です。「ちょっと様子がおかしいな」と感じたときには、迷わずに動物病院にご相談ください。早期発見と的確な治療が、大切なご家族である犬や猫の健康を守る第一歩です。
当院では、犬や猫の尿路結石に関する豊富な診療実績があり、専門的な検査と治療を行っております。ご不安なことがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
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