2024/07/03
犬の股関節形成不全は、主に大型犬によく見られる病気です。
この病気は、股関節組織の発育時の形成異常が原因で関節が不安定になり、結果的に骨関節炎を引き起こします。犬が股関節形成不全を引き起こすと足を引きずって歩く、歩くときに腰を左右に振る(モンローウォーク)などの行動が見られます。さらに症状が進行すると強い痛みが生じ、歩行が困難になることもあります。
今回は犬の股関節形成不全について、原因や治療方法、予防法などをご紹介します。
■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ
原因
股関節形成不全を引き起こす原因は、遺伝が関与していることが明らかになっていますが、過剰な栄養摂取による急激な体重増加や肥満、激しい運動や関節に負担のかかる生活環境といった2次的な要因も病気の発症に影響を与えています。この病気は、主にゴールデン・レトリーバーなどの大型犬に多く見られますが、稀に小型犬や猫でも発症することがあります。
症状
股関節形成不全の特徴的な症状は、後肢のふらつきやウサギ跳びのように両方の後ろ足で同時に地面を蹴る行動が見られます。また、この病気はほとんどの場合、両方の股関節に異常が現れます。具体的な症状としては、以下のような行動が見られます。
・散歩に行きたがらない
・散歩の途中で座り込む
・頭を下向きにして歩く
・横向きに座る
・歩行時に腰が左右に揺れる(モンローウォーク)
股関節の炎症が軽度の場合は愛犬の様子に大きな異変が見られないため、飼い主様が症状に気付かないこともあります。しかし、症状が進行し炎症が重度になると、歩くたびに強い痛みが生じ、足どりが不自由になり、歩行が困難になります。
診断方法
股関節形成不全の診断では、まず、飼い主様からご自宅での愛犬の様子について問診を行い、獣医師が院内で犬の歩行を観察し、どの足に違和感があるのかを確認します。そして、筋肉や骨格を触診し、股関節の状態を確認します(整形学的検査)。股関節形成不全が疑われる場合はレントゲン検査を行い、股関節の状態や炎症の有無を詳しく確認します。
治療方法
股関節形成不全の治療は、保存療法と外科療法の2つに分類されます。<保存療法>
サプリメントや消炎鎮痛剤を投与し炎症を抑えます。また、食事管理を通じて体重の増加を防ぎ、適切な運動制限を行います。
<外科療法>
手術では、若齢期恥骨結合固定術や骨盤骨切り術(成長期のみ)、股関節全置換術、大腿骨頭切除術などを行います。
予防法やご家庭での注意点
股関節形成不全は遺伝性疾患であるため、予防は困難ですが症状を緩和するためには肥満を防ぐことが重要です。肥満は、股関節や膝関節などの関節に大きな負担をかけます。そのため、バランスの取れた食生活と適度な運動を心がけることが推奨されます。
ご家庭内では滑りやすい床にマットを敷く、段差にスロープを設置するなどの対策を行うと効果的です。
まとめ
股関節形成不全は放置すると深刻な関節炎を引き起こし、治療後も正常な歩行が困難になります。そのため、飼い主様は普段から愛犬の様子を注意深く観察し、定期的に健康診断を受けることが重要です。これにより、病気を早期発見し・早期治療を行うことが可能です。■関連する記事はこちらから
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