2024/05/10
人間と同じように犬や猫もアレルギー性皮膚炎にかかることがあります。実は、犬や猫の皮膚疾患の中で約3割以上がアレルギーが原因とされています。
アレルギーは自然には治らないため、治療を行わないと症状が悪化することがあります。
また、複数のアレルゲンが関連している場合、症状はさらに悪化する可能性があるため、適切な予防と治療が非常に重要です。
そこで今回は、犬と猫のアレルギー性皮膚炎についてご紹介します。
■目次
1.アレルギー性皮膚炎とは?
2.さまざまなアレルギーの種類と原因
3.症状
4.診断方法
5.治療方法
6.予防法やご家庭での注意点
7.まとめ
アレルギー性皮膚炎とは?
犬や猫が、下記のアレルゲンに反応して皮膚炎を発症します。
・花粉
・ダニ
・家のホコリやカビ
・食品の成分 など
これらのアレルギーを引き起こすと、犬や猫の免疫システムがそれらを危険だと察知し、過敏に反応してしまいます。それが原因で皮膚に炎症が生じ、かゆくなるなどの症状が現れます。
さまざまなアレルギーの種類と原因
アレルギー性皮膚炎は、特定のアレルギー(アレルゲン)を引き起こす物質に反応して起こる皮膚の炎症です。
この疾患は、原因となるアレルゲンの種類に応じて下記に分類されます。
<アトピー性皮膚炎>
花粉やハウスダスト、ダニなど環境中にあるアレルギーを吸入することで発症します。
<食物アレルギー>
食品に含まれる特定の成分に対してアレルギー反応を起こすことで発症します。
<ノミアレルギー性皮膚炎(FAD)>
ノミに噛まれると、ノミの唾液中にあるタンパク質に対して、犬や猫が過敏反応を起こすことで発症します。
<接触性アレルギー皮膚炎>
特定の物質に触れた際にアレルギー反応が発生します。これらの反応を引き起こす物質は、免疫系がなにに反応するかによって異なります。
アレルギーの原因となる物質には、下記があります。
・シャンプーなどの薬品
・花粉や一部の植物
・プラスチック製の食器やおもちゃ
・カーペット
・首輪 など
特にアトピー性皮膚炎を持つ犬や猫は、接触性アレルギーにかかりやすいとされています。これは、アトピー性皮膚炎が皮膚のバリア機能を弱めるため、アレルゲンが皮膚に侵入しやすくなるからだと考えられています。
また、アレルギー体質の形成には複雑な要因が関与しており、遺伝的要素や生まれたばかりの時期の環境などが影響しているとされています。
これらの要因がどのようにアレルギー体質を形成するかについてのメカニズムは、まだ完全には解明されていません。
症状
アレルギー性皮膚炎が引き起こす症状は多岐にわたりますが、主に下記の症状がみられます。
<赤くなる>
炎症を伴うアレルギー性皮膚炎では、皮膚が赤くなり敏感になります。軽く触れるだけでも痛みを生じることがあります。
<かゆい>
最も一般的な症状としては、患部を舐めたり、かいたりする行動が多くみられます。
<脱毛>
慢性的なかゆみやかきむしりが続くことで、脱毛を引き起こすことがあります。
<くしゃみ・鼻水>
アレルギー反応によって、呼吸器系にも影響が出ることがあり、くしゃみや鼻水が現れることがあります。
<皮膚の黒ずみ・肥厚>
長期間にわたる炎症が原因で、皮膚が黒ずんだり、厚くなったりすることがあります。
<結膜炎>
目の炎症が原因で、目が赤くなったり目やにが出たりします。
<外耳炎>
耳道に炎症が生じると、かゆみや痛みが伴います。
これらの症状は皮膚のバリア機能が低下し、「膿皮症」や「マラセチア性皮膚炎」など他の皮膚疾患のリスクを高めることがあります。
症状は主に下記のような敏感な部位に現れやすいです。
・目の周り
・口周り
・足先
・脇
・股
接触性アレルギー皮膚炎の場合は、アレルゲンに直接触れた部分に限定して症状が出ることが多いです。
診断方法
アレルギー性皮膚炎の診断は複雑なため、原因を正確に特定するためには多くの検査が必要です。
主に下記の検査をおこないます。
<血液検査>
血液検査を通じて、特定のアレルゲンに対する抗体の有無を調べることで、どのアレルゲンに反応しているかを特定します。
また、リンパ球反応検査を行い、アレルゲンに対する免疫系の反応を詳細に分析することもあります。
<皮膚掻爬検査>
皮膚の一部を採取し、毛穴の深い部分に寄生している毛包虫を検出します。
採取したサンプルは顕微鏡で詳細に観察され、寄生虫の存在を確認します。
<除去食試験>
食物アレルギーを特定するための検査です。
特定のアレルゲンを含まない食事を与え、その後の症状の変化を観察します。もし症状が改善されれば、その食事に含まれていない成分がアレルゲンである可能性が高いと考えられます。
治療方法
アレルギー性皮膚炎の治療には、下記を行うことが重要です。
・アレルゲンを避ける
・適切なスキンケアを行う
・薬を使用してかゆみを抑える
治療方法は、アレルギーの原因によって異なります。
<ノミアレルギー皮膚炎>
ノミを駆除するには、ノミ駆除薬の使用が効果的です。また、かゆみがひどい場合にはステロイド剤を使用してかゆみを抑制する治療も行われます。
<食物アレルギー>
アレルギーの原因となる食物を特定し、そのアレルゲンを含まないフードに切り替えることが必要です。おやつや人間の食べ物を与えると症状が再発することがあるため、治療の一環として療法食と水のみを与えることが推奨されます。
<アトピー性皮膚炎・接触性アレルギー皮膚炎>
アレルギーの原因となる物質が特定できれば、その物質との接触を避けることで症状を改善することが可能です。治療には、抗生剤やステロイド剤が用いられます。
また、シャンプー療法を通じて皮膚を清潔に保つことで、炎症やかゆみを抑えることができます
予防法やご家庭での注意点
ご家庭でのアレルギー対策としては、アレルゲンが蓄積するのを防ぐために定期的に掃除を行いましょう。空気清浄機を使用してアレルギー物質を抑える方法も推奨されます。
また、皮膚の免疫力を向上させるためにもバランスの良い食事を心掛け、皮膚の乾燥や刺激を防ぐために専用のスキンケア製品を使用することも大切です。
まとめ
アレルギー性皮膚炎は、一度発症すると完治するのが難しく、犬や猫の生活の質に大きく影響します。
この症状を効果的に管理するためには、かゆみをどれだけうまく抑えることができるかが最も重要です。
愛犬や愛猫の皮膚の健康を保つためにも、積極的に対策を行いましょう。
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