2024/04/05
甲状腺機能低下症は、甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンが不足することで引き起こされる病気です。
甲状腺は、首の前側や人でいうのどぼとけにあたる甲状軟骨のすぐ下に位置する臓器で、気管を挟んで左右に1つずつ存在しています。
甲状腺ホルモンは、体の代謝を活発に促進する役割があり、エネルギーの産生やタンパク質や酵素の合成、炭水化物や脂質の代謝などの様々な働きを担っています。甲状腺機能が低下すると、新陳代謝が鈍くなり、さまざまな症状が現れます。
今回は犬の甲状腺機能低下症について、原因や症状、治療方法などについて詳しく解説します。
・リンパ球による甲状腺炎
・特発性甲状腺萎縮
・長期的なステロイド投与
・甲状腺腫瘍 など
甲状腺機能低下症には甲状腺自体に異常が生じることがほとんどです。この甲状腺自体の異常には、主にリンパ球による甲状腺炎や甲状腺が原因不明で縮小する特発性甲状腺萎縮などがあります。
一方で比較的稀ですが、下垂体に発生する腫瘍からこの状態が生じるケースも存在します。
また、甲状腺が変性する自己免疫性疾患により引き起こされることがありますが、遺伝的要因や下垂体の問題も関連していることがあります。
この病気はどの犬種でも発症する可能性があり、特にトイプードル、ミニチュアシュナウザー、ビーグル、ゴールデン・レトリーバー、ドーベルマンなどの犬に多く見られます。
また、5歳以上の中高齢の犬に発症が多いといわれていますが、幅広い年齢で発症することがあります。
・元気がない
・運動や活動性の低下
・動きたがらなくなる
・散歩に行きたがらない
・食べる量は変わっていないのに肥満が見られる など
他にも、甲状腺機能低下症による典型的な症状には、睡眠時間が長くなる、寒さに弱くなる、毛皮や皮膚の乾燥、皮膚の色素沈着、脱毛、繰り返し発生する皮膚感染症、鼻の先端の白髪や尾部の毛の脱毛(ラットテール)、むくみが原因で悲しそうな表情をする(悲観的顔貌)などがあります。
これらの症状は、しばしば老齢に伴う自然な変化と誤解されがちですが、実際には甲状腺機能低下症の兆候である可能性もあるため、注意深く観察することが必要です。
しかし、これらのホルモンの数値は他の病気や健康状態など様々な要因によって変動する可能性があるため、総合的な診断が必要になります。
そのため、症状と血液検査のデータをもとに、獣医師が総合的な判断を下して診断を行います。
これは不足している甲状腺ホルモンを補い、体の代謝を正常な状態に戻す役割を果たします。治療を始める際には、適切な用量を見極めるために低用量から行い、徐々に用量を増やしていきます。
治療を開始してから4〜8週間後には、毛並みの改善や体重、活動量などに明らかな改善が見られることが多いです。治療の効果や甲状腺ホルモンの濃度を定期的に測定して、適切な薬の量を調整することが重要です。
また、治療は長期にわたり必要ですが、症状が改善されたとしても治療をやめると症状が戻る可能性があります。そのため、獣医師の指導に従い、定期的な健康管理と治療の継続が必要です。
そのため、定期的な健康診断による早期発見をすることが大切です。特に4〜10歳の中高齢犬に多く見られる疾患であるため、この年齢層の犬を飼っている場合は注意が必要です。年齢による変化だと思い込まず、活動量の減少や皮膚の変化などの異常に気づいたら、すぐに獣医師に相談することが重要です。
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甲状腺は、首の前側や人でいうのどぼとけにあたる甲状軟骨のすぐ下に位置する臓器で、気管を挟んで左右に1つずつ存在しています。
甲状腺ホルモンは、体の代謝を活発に促進する役割があり、エネルギーの産生やタンパク質や酵素の合成、炭水化物や脂質の代謝などの様々な働きを担っています。甲状腺機能が低下すると、新陳代謝が鈍くなり、さまざまな症状が現れます。
今回は犬の甲状腺機能低下症について、原因や症状、治療方法などについて詳しく解説します。
■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ
原因
甲状腺機能低下症には主に次のような原因が考えられます。・リンパ球による甲状腺炎
・特発性甲状腺萎縮
・長期的なステロイド投与
・甲状腺腫瘍 など
甲状腺機能低下症には甲状腺自体に異常が生じることがほとんどです。この甲状腺自体の異常には、主にリンパ球による甲状腺炎や甲状腺が原因不明で縮小する特発性甲状腺萎縮などがあります。
一方で比較的稀ですが、下垂体に発生する腫瘍からこの状態が生じるケースも存在します。
また、甲状腺が変性する自己免疫性疾患により引き起こされることがありますが、遺伝的要因や下垂体の問題も関連していることがあります。
この病気はどの犬種でも発症する可能性があり、特にトイプードル、ミニチュアシュナウザー、ビーグル、ゴールデン・レトリーバー、ドーベルマンなどの犬に多く見られます。
また、5歳以上の中高齢の犬に発症が多いといわれていますが、幅広い年齢で発症することがあります。
症状
甲状腺機能低下症の症状はさまざまですが最もよく見られる症状は以下の通りです。・元気がない
・運動や活動性の低下
・動きたがらなくなる
・散歩に行きたがらない
・食べる量は変わっていないのに肥満が見られる など
他にも、甲状腺機能低下症による典型的な症状には、睡眠時間が長くなる、寒さに弱くなる、毛皮や皮膚の乾燥、皮膚の色素沈着、脱毛、繰り返し発生する皮膚感染症、鼻の先端の白髪や尾部の毛の脱毛(ラットテール)、むくみが原因で悲しそうな表情をする(悲観的顔貌)などがあります。
これらの症状は、しばしば老齢に伴う自然な変化と誤解されがちですが、実際には甲状腺機能低下症の兆候である可能性もあるため、注意深く観察することが必要です。
診断方法
診断過程では主に血液検査を用いて、血液中の甲状腺ホルモン(サイロキシン)と甲状腺刺激ホルモンの濃度を測定します。しかし、これらのホルモンの数値は他の病気や健康状態など様々な要因によって変動する可能性があるため、総合的な診断が必要になります。
そのため、症状と血液検査のデータをもとに、獣医師が総合的な判断を下して診断を行います。
治療方法
治療方法としては、合成甲状腺ホルモン製剤の内服をします。これは不足している甲状腺ホルモンを補い、体の代謝を正常な状態に戻す役割を果たします。治療を始める際には、適切な用量を見極めるために低用量から行い、徐々に用量を増やしていきます。
治療を開始してから4〜8週間後には、毛並みの改善や体重、活動量などに明らかな改善が見られることが多いです。治療の効果や甲状腺ホルモンの濃度を定期的に測定して、適切な薬の量を調整することが重要です。
また、治療は長期にわたり必要ですが、症状が改善されたとしても治療をやめると症状が戻る可能性があります。そのため、獣医師の指導に従い、定期的な健康管理と治療の継続が必要です。
予防法やご家庭での注意点
今のところ、甲状腺機能低下症を予防する特定の方法はありません。そのため、定期的な健康診断による早期発見をすることが大切です。特に4〜10歳の中高齢犬に多く見られる疾患であるため、この年齢層の犬を飼っている場合は注意が必要です。年齢による変化だと思い込まず、活動量の減少や皮膚の変化などの異常に気づいたら、すぐに獣医師に相談することが重要です。
まとめ
皮膚に現れる異常は一見、皮膚疾患によるものと思われがちですが、甲状腺機能低下症のようなホルモン関連の疾患が原因であることも考えられます。外見のみでの診断は困難なため、動物病院での適切な検査を通じて、原因を明らかにすることが大切です。お問い合わせはこちら
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平成17年7月にオープンした病院です。ペットフォレスト武蔵藤沢店の中にあります。若い犬猫や高齢期の犬猫まで幅広く診ることができます。
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