冬に多くなる泌尿器系の病気について┃水分を十分に摂取しよう- ドクターオザワ動物病院 八王子・町田・入間

皆様は冬になると犬と猫の泌尿器系 (腎臓や尿管、膀胱、尿道などの尿の排泄に関与する部分)の病気が多発することをご存じでしょうか。特に、過去に尿管結石や尿道閉塞などの病気を患ったことがある犬や猫は、冬に同様の病気が再発する可能性があるため注意が必要です。

今回は、犬と猫の冬に多くなる泌尿器系の病気や予防方法について詳しく解説します。

■目次
1.冬に泌尿器系疾患が多くなる原因
2.冬に多くなる犬の泌尿器系疾患
3.冬に多くなる猫の泌尿器系疾患
4.冬に多くなる泌尿器系の病気の予防方法
5.まとめ

冬に泌尿器系疾患が多くなる原因

冬に犬と猫の泌尿器系疾患が多くなる一番の原因は、 寒さにより水を飲む量が激減するからです。

また、寒さから散歩の時間がどうしても少なくなってしまいます。猫も暖かい場所で丸まって寝ていることが増えるため、運動量が減少し、体内の代謝が低下することで泌尿器系の問題が起きやすくなります。

冬に多くなる犬の泌尿器系疾患

犬に多い冬季の泌尿器系疾患について、以下があげられます。

・細菌性膀胱炎
尿には膀胱や尿道で繁殖した細菌を体外に洗い流す役割も持っています。そのため、冬場に水を飲む量が低下すると尿量も同時に低下してしまい、細菌をうまく洗い流すことができなくなってしまいます。結果として、膀胱内で細菌が異常に増殖し、膀胱炎に罹りやすくなります。特にメスは尿道がオスよりも短いため細菌が陰部から侵入しやすく、細菌性膀胱炎になりやすいと言われています。

・尿路結石症
尿路結石症とは、腎臓から尿管、膀胱、尿道という尿の通り道に石や結晶ができてしまい、尿の流れが悪くなったり完全に詰まってしまったりする病気です。特にオスは尿道がメスよりも長いため尿石が尿道内に詰まりやすく、尿石症になりやすいと言われています。

・前立腺炎
特に去勢していないオスに多い疾患で、寒さによるストレスや免疫力の低下が原因となることがあります。症状には排尿困難や血尿、排尿時の痛みがみられます。

冬に多くなる猫の泌尿器系疾患

猫に多い冬季の泌尿器系疾患について、以下があげられます。

・特発性膀胱炎
特発性膀胱炎とは、細菌感染のような明確な原因が無いにもかかわらず、排尿時の痛みや頻尿といった膀胱炎の症状を示す病気です。猫は寒くなると飲水量が低下することに加えて、強いストレスを感じるため特発性膀胱炎になりやすいと言われています。

・尿路結石症
猫も犬同様に冬場に尿路結石症が多発します。猫の尿道は非常に細いため、尿石が完全に詰まってしまう（=尿道閉塞）ことが多く、注意が必要です。

・腎不全
猫は加齢とともに腎不全になるリスクが急激に高くなります。寒さによる体へのストレスや水分摂取量が減少すると腎不全が一気に進行してしまい、隠れていた症状が現れやすくなります。

　

冬に多くなる泌尿器系の病気の予防方法

冬に多くなる泌尿器系の病気を予防する一番の方法は、水分を十分に摂取することです。愛犬愛猫に清潔な水を与え、可能であれば水分含有量の高いウェットフードを与えることも一つの方法です。また、冷たさが原因のことがあるので、飲用水を人肌程度に温めて与えてみるのも良いでしょう。

トイレが寒い場所にあると行くのを嫌がることがあるので、暖かい場所にトイレを設置するのも予防の一つです。

加えて定期的な運動も重要です。これは体温を維持し、免疫力を高め泌尿器系の病気だけでなく愛犬愛猫の健康を維持するために重要です。

まとめ

冬場は飲水量が低下することから泌尿器系の病気になる犬と猫が急激に増加します。紹介した方法で飲水量を増やしたり、こまめに排尿時の様子や尿の状態をチェックして異変に気づいたらすぐに動物病院を受診しましょう。

犬と猫の防寒対策についてはこちらでも解説しています

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